オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「赤石さん、退いてください。あたし、帰らなきゃ」
あたしは彼の目をまっすぐに見て、はっきりと自分の意志を伝えたつもりだった。
……だけど。
「帰るって、どこに?」
赤石に冷たい口調で淡々と問われ、あたしは返事に窮した。
赤石が黒髪の王子さまと知ってしまった今、彼はあたしのナギへの想いも知ってる。
「好きだ」と告白してくれた彼に、ナギのマンションに泊まると知られたら、逆上されるかもしれない。
正直言うと、赤石からの……王子さまからの告白は、意外だけども嬉しかった。
けど、あたしは慕わしく感じてても、異性として見ることは出来なかった。
確かに、あたしは王子さまにたくさん救われた。
どんなにお礼を言っても足りないくらいに。
あたしが彼をはっきりと覚えてて、あたしたちが現実に頻繁に逢っていれば、また現実は違ったかもしれない。
あたしの初恋はナギじゃなく、きっと赤石にしてたと思う。
だけど、過去は変えられない。
現実という結果は動かない。