オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「乱暴して済まなかった」
地下駐車場に来た時、赤石はあたしに謝ってきた。
あたしは何を言っていいのか解らずに、彼の車に乗ろうと足を踏み出した。
その刹那――
―ドクン―
あたしにはお馴染みの熱が、目の奥に収束してくのが感じられた。
全身が脈動し、細胞が活性化される。
周りの景色が一瞬で変化した。
無機質なコンクリートの薄暗い地下駐車場に居たはずなのに、周りの景色は海中へと変じていた。
多少濁って透明感が低いけど、海藻もあるしカニも魚も貝もいた。
一見豊かな海に見えた。
けれども――
その中で、生きている生物はいなかった。
すべてが死んでいた。
死んだ生き物たちが波間に揺らめき、海の中を埋め尽くしてた。
……苦しい。
息ができない。
体に力が入らない。
助けて……誰か助けて。
「……杏子!」
はっと気付けば、赤石があたしを抱きかかえて顔を覗き込んでた。