オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
赤石さんの手術が始まった頃、ナギがやって来た。
特に急ぐ風でもなく悠然と歩いてくるから、取り乱してるところは微塵も感じられない。
相変わらずの冷静さだよね、とあたしは心の中で苦笑する。
ねえ、ナギ――
もしも、あたしが赤石さんの立場だったら。
あなたは取り乱してくれる?
「経過はどうだ?」
「たぶん深夜まで掛かるだろうけど、命に別状はないって」
それを聴いたナギは無言であたしの隣に腰掛けた。
あたしは、ゆっくりと息を吐きながらナギを見た。
「ナギ、話があるんだけど」
「何だ?」
ナギがそう返すまで時間が掛かったのに、その時のあたしは余裕がなくて気付けなかった。
ただ、そのひとことを言うために意識の全てが集中したから。
「……あたし……もうナギのそばにいられない。ごめんなさい……」
あたしがこう告げた数分後、ナギの靴音が遠ざかっていった。
あたしは見送る事も出来ず、ただ泣き続けることしかできなかった。
……さよなら、あたしの初恋。