オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
ナギに別れを告げて彼が去った後、心が引きちぎれそうだった。
痛くて痛くて息も出来ず、全身の力がどこかへ行ってしまったように体が動かない。
自分の意志で指一本すら動かせず、看護士さんに声を掛けられるまで、呪縛にかけられたみたいに何も出来ずに体が強張ってた。
声も、涙も出なくて。
本当に悲しい時は、直ぐに涙が出ない。
誰かから聴いた通りだった。
あたしが失った……
ううん。
自分から突き放したものは、あまりにも大きすぎて。
それはきっとあたしの心の半分以上を失ったも同然だから。
もう、笑うことなんかできない。
赤石さんや看護士さん達の前では笑ってみせるけど、あくまでも作った笑顔に過ぎなくて。
あたしは、嬉しいという感情をどこかに置き忘れた人形。
虚ろで空っぽな、渚杏子という人形。
あたしの心は……
ナギを失った瞬間に、きっと死んだのだから。
感情も、失った。
どんな美しい風景を見ても、凍りついた心が動かされはしない。