それでも、すき。
『香椎くんを助けて…っ!』
あの時、あたしが迷わず香椎くんの携帯から電話を掛けたのは菜未ちゃんだった。
他に誰も頼れる人がいなくて。
降りしきる雨の中
気が付いたら
菜未ちゃんへ助けを求めていたのだ。
菜未ちゃんは上手く説明出来ないでいるあたしの言葉をいち早く理解してくれて、すぐに救急車を呼んでくれた。
そして、電話を切ってすぐ、バス停まで駆け付けてくれて。
これは後で聞いた話だけれど
菜未ちゃんのお兄さんは、香椎くんが運ばれた救急病院で医師をしているんだと教えてもらった。
「ちょっとは落ち着いた?」
その問い掛けに小さく首を縦に振る。
あの後菜未ちゃんに連れられ、あたしはようやく自分の家に帰宅した。
ちょうどよく
家には誰も居なくて。
自分の家だというのに、菜未ちゃんが煎れてくれたココアを両手に包んで一口飲み込んでみる。
甘いココアが、冷え切った体に染み渡っていくようだった。