それでも、すき。
ゆるりゆるりと
流れてゆく時間。
静かに降り続く雨音を聞いてると、まるで時間が止まったみたい。
「――柚果。」
ふいに呼ばれ、顔を上げた視線の先に映ったのは、真剣な眼差しであたしを見下ろす菜未ちゃん。
カタン、とイスを引く音が、静けさに響き渡る。
彼女が何を言おうとしてるのか、あたしにはわかっていた。
「大和と、付き合ってるんだよね?」
それは、目の前に座る菜未ちゃんが初めて口にした言葉で。
わかっていながら今まで核心に触れてこなかったのは、彼女の優しさなんだと思う。
だけど、あたしと香椎くんは今、付き合ってると言えるんだろうか。
隠されていた事実を目の前にして、あたしは向き合う事から逃げ出した。
それが、“恋人”だと本当言える?
自信がなくて、曖昧に頷いたあたしに、菜未ちゃんは続けて言う。
「じゃあ、ちゃんと話さなきゃ。」
「……でも、」
――これ以上、傷つきたくない。
そんな情けない独りよがりが胸をすり抜けた。