それでも、すき。
…可笑しい話だ。
傷つく事には慣れてたはずなのに、香椎くんの事になると
あたしは途端に臆病になってしまう。
全てが嘘だったと
彼の口から言われる事
そして、彼に拒まれるのが怖かった。
だから、自分から『さよなら』を告げた。
傷つけられる前に、自分から傷ついて。
離れてしまう前に、自分から離れたのだ。
そうする事でしか、あたしはあたしを支えられない。
それでしか、自分を守る術を知らないから。
「………、」
あたしは、それ以上何も言えなかった。
手にしたココアに、今にも泣き出しそうな自分が映る。
そんなあたしに、菜未ちゃんが溜め息ひとつ落として言った。
「何があったのかは深く聞かないけどさ。」
それは、聞き分けのない子供を宥めるような口調のようで。
「話さなきゃ、始まりも終わりもないんだよ。」
だけど、その言葉に含まれた優しが、あたしの胸の奥へ
ココロの中へ、染み渡っていった。