それでも、すき。
――話さなきゃ、始まりも終わりもないんだよ。
窓際に見える景色から、紅色が消えてゆく。
代わりに裸になった木々が揺れ、地面を染める木枯らしが踊る頃。
秋は冬へと、少しずつ季節を移し始めた。
「うそっ!それ本当?」
「やだー!」
どこからともなく聞こえてくる笑い声、他愛ない話。
頬杖をつきながら教室の外を眺めていると、差し出されたノートがあたしの机に置かれた。
「長い間、借りっ放しでごめんね。」
何も答えないまま受け取れば、視界の隅に揺れる栗色が、あたしの胸を締め付ける。
彼が背中を向けたと同時に、あたしは顔を上げてその後ろ姿を目で追った。
香椎くんが学校へ復帰したのは、あれから一週間以上経った冬の始め。
そう、やっと今日姿を見せた。
やっぱり彼は誰よりも目立つ存在で、登校してから今の今まで香椎くんの周りには人が絶えない。
そんな彼を横目に
あたしはたった今返してもらったノートに視線を落とし
ぱらり、とページをめくった。