それでも、すき。
待ってもいないのに
放課後はあっという間に訪れた。
重たくなってゆくあたしの気持ちとは裏腹に、放課後の浮かれた声が教室を埋める。
心なしかスローペースになってしまう帰り支度。
こんな事をしても大した時間稼ぎにならないのに、最後まで往生際が悪いあたし。
…何を今更。
自虐的に自分を責めてみる。
だけどそんな自分が嫌で、乱暴に荷物を詰め始めると
「行くの?」
と背中に掛けられた声。
カバンを肩まで持ち上げて振り返ったあたしは、「うん」と答え
「行ってくる。」
菜未ちゃんへ下手な笑顔を返した。
徐々にみんなが去ってゆく教室で、小さな覚悟と大きな不安が葛藤してる。
「…そっか。」
落とすように呟いた菜未ちゃんは、それ以上何も言わなかった。
“頑張れ”なんて
その場しのぎの慰めが、どれだけ意味のない事なのか
菜未ちゃんもわかってるんだと思う。
だからあたしはまた無理に笑顔を作って教室を出た。
香椎くんの姿は、すでに見当たらなかった。