それでも、すき。


あぁ、そうか。

そうゆう事…か。



「…ゆの。」


香椎くんが
一歩距離を縮める。

あたしも一歩下がった。


その拍子に
扉が背中に当たって。



「ゆの、」

「――来ないで…っ!」


あたしは香椎くんから顔を逸らし、俯いてしまった。



…バカだ、あたし。

泣かない、ってさっき心に決めたばかりだったのに。


でも、もう無理だ。




「見ないで…っ、」



あんな悲しい曲を聴いて別れ話する程、あたしは強くない。

強くなんかないんだよ――。




「ゆの…。」

「……っ、」

「……ごめん。」


泣きじゃくるあたしに
ごめんね、と香椎くんは繰り返す。



それは何に対しての“ごめん”なの?


別れの曲を弾いてた事?
あたしが泣いた事?

…それとも
瞳ちゃんとの事?



どちらにしても
二人がもう一緒にいられないのなら

“ごめんね”なんて言わないで。




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