My Sweet Sweet home
「なにしてんの!?」


拓兄が目の前まで来るや否やあたしは驚いて言った。


「昼飯も一緒に食おうと思って迎えにきた。」


けろりと答える拓兄。


「ここで待ってたの?部室かどっかで待っててくれればいいのに。」


「いいじゃん。細けーこと気にすんなよ。」


「なんか今日おかしくない?」


拓兄の後ろの群れの羨望の眼差しを無視して、あたしは拓兄に何かおかしなところはないかと目をまじまじと覗き込んだ。


「ん?俺が?ぜんぜん。てか行こーぜ。俺腹減ってやべー。」


残念ながら拓兄の目の色からはそういった症状は何も読み取れなかった。

そうして拓兄に肩を引き寄せられ、強引にあたしは連れ出された。


一瞬、嫌がらせ集団メンバーの恨みがましい表情を見た気がしたけど、そんなことはどうでもよかった。


なんでわざわざ迎えにきたかはわからないけど、あたしはこれまたすごく嬉しかった。


この場で拓兄と話すことも、そばにいることも許されているのはあたしだけ。


なんとも甘い優越感だった。

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