My Sweet Sweet home
部室を出て４講が始まってからも、授業はほとんど頭に入らなかった。



これから拓兄とご飯を食べに行くと思うと、それしか考えられないのはしょうがない。



夜何が食べたいかそればかりをぼんやり考えているうちに授業は終わった。



荷物を鞄に詰め、すぐさま部室に戻ろうと思ったが、あたしが席を立つ前に女の子が２人あたしの側にやってきた。



驚いたことにそれは嫌がらせメンバーの子で、あたしに何か言いたそうに２人でもじもじしていた。



「なに？」



「あぁ待って！」



あたしが席を立った瞬間焦ったように２人声を揃えて、あたしの前に立ちはだかった。



「だから何？」



うんざりしたように聞くと片方の女が早口に話し始めた。



「あたしたち原田さんにすごく悪い事をしてきたと思ってそれを誤りたかったの。それに気づいたの。」



まるで用意された台本のようだ。



「気にしてないから。」


そう言って通ろうとしたけど、またしても２人邪魔をした。



「あ、あたしたち原田さんと友達になりたいの！よかったらアドレス教えてくれない？」



この話はどこか辻褄が合わない。



片方の女は、まるで棒読みのように話す。



かと思えば、もう片方の女は出入り口の方を何度も振り返ってはソワソワしていた。



「あー、あたしあんた達に興味ないから。」



いつの間にかこの部屋はあたしたち３人になっていた。



いや、９人だ。突然６人の女が入ってきた。



拓兄の元カノ、いつもの友人、そしてその他いつも嫌がらせをしてくる面識ある面々だった。



途端に目の前の女２人はホッとしたような顔つきになり、元カノがいるグループへ戻っていった。


あたしはすぐさまこの一連の出来事の全貌を理解した。



この２人にはめられた。

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