騎士戦争


目線はまた地に落ちる


赤い斑点が真横で落ちる中、ふと透明なモノが地に染みる


赤を薄めるそれは天に還った奴らが流したモノだろうか





降り始めからひどい豪雨は体を濡らした


悲鳴は未だにして、雨音と面白いほどに絡み合う


立てはしない体は体重が何倍も重くなったようだ


地に埋もれそうになる


丁度、自分の愛剣も隣にあり墓場にもってこいだった


じゃり、土を踏む音


周りがわーわーとわめいているのに、その足音は落ち着いた感じを受けた


印籠を渡されることなど分かりきっている


目上に、二本の足があるのも分かっていた


そうして、男の強さも認める


たった二つの手で、全てを守りたいと思う男の気持ちは正直、自分のことしか見えない己には分からない


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