騎士戦争
――雨が弾く
失いたくないモノ
ないことがこんなにも寂しいとは
――地にある足が砂を強く踏んで
誇りがない自分は、生きる資格もなく
人を殺す理由が醜いだけの殺人者は
――微かなかけ声
降り落とされたそれの行き先は
「だから、俺は……」
響いたのは製鉄が重なった重低音
加え、男の驚きも聞こえた
膝をついたまま、己で自分の歯を砕くぐらいの強さでクロスはこらえた
失いたくないモノがない自分でも、この巨剣を止める理由があったから
“刺される前に刺す”
クロスの最大の巨悪にして、最高の――
「だから、俺は“生きていける”んだ……!」
生きる理由
生きているからこそ死にたくなどない
単純な答えだが、クロスにとっては大きなきっかけとなる