姫のさがしもの。


レジで勘定を済ませ、
店を出た私たち。



すると

彼はまた私の肩を
抱いた。


そして

もう片方の手で
一度だけ私の髪を
撫でてから

目の前の道路に
向かって手を挙げた。



タクシーが一台停まった。



彼はそれから、

もう一度私の肩を
強く抱き寄せて


私の耳元で


「気をつけて帰ってね。
またあとでね」


そう言って

それからタクシーチケットを
手渡してくれた。



「ありがとう!」


とびっきりの笑顔で
彼にお礼を言って

私はタクシーに乗った。
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