姫のさがしもの。


彼は私の頬を軽く撫でてから、


その手をゆっくりと下ろし、
私の腰へと回す。


そしてグイッと
引き寄せる。




私は黙ったまま
彼の肩に寄りかかり

彼に体を預けた。



彼は両手で私を包み込み、

そしてギュッと
強く強く抱きしめる。



私はやはり黙ったまま
彼を抱き返す。




時間が止まったように

長い間、彼は
私を抱きしめ続けた。



しだいに、彼の息づかいが
荒くなっていく。



彼の鼓動がはっきりと
聞こえる。




「姫夏…」
< 424 / 544 >

この作品をシェア

pagetop