駆け抜けた少女【完】
船着場についた矢央達は、斉藤を休ませるべく移動を始めた。
息遣いが荒く、腹を押さえながら歩く斉藤の隣には心配顔の矢央が斉藤の背中をさすっている。
「斉藤さん、大丈夫ですか?
直ぐにお医者様に診てもらいましょうね」
「…す、すまない……」
「謝ることなんて何もないじゃないですか」
優しい言葉をかけた矢央に、斉藤は苦痛に歪む表情を多少和らげた。
少し後ろを歩いていた沖田は、その様子を見て言いようのない気持ちにかられた。
ソッと自分の胸に手を当て、コテンと首を傾げている。
「どうかしたか、総司?」
「……何だか、モヤモヤします」
「モヤモヤ?」
唇を尖らせながら言う沖田の視線の先を見た永倉は、斉藤を支えて元気付ける矢央を見て、ははぁん…と、ほくそ笑むんだ。
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