駆け抜けた少女【完】
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グサッ…ザシュュッッ…ザッ…
池田屋の中は既に血の海とかしていた。
たった五人で、池田屋にいた二十名余りの浪士を相手にするには、さすがの新選組でも大変なもので。
「オリャアッッ!」
「グギャッ!」
「平助ぇ、あんまり突っ込むんじゃねぇ!」
「なぁに言ってんのさっ! オリャッ! 先駆け先生の名が廃るってもんでしょっ…て!」
「平助っ!」
腕に自信があり正義感の強い藤堂は、二階から押し寄せる浪士に臆することなく突っ込んでいく。
だがしかし、永倉から見れば危なっかしくて堪らない。
「チッ! きりがねぇな。 上はどうなってんだ」
出来るならば仲間一人失いたくないと強く願う永倉は、向かってくる浪士を斬り捨てながらも、周りが気になって仕方ない。
「幕府の犬めがぁぁっっ!」
上段に構え飛び込んでくる浪士の腹を素早く斬り足蹴りする。
ドサッと床に倒れた浪士を遠慮なく踏みつけて、また新たな浪士と剣を打ちつけあった。
その時である――――
「平助っ、右だっ! 右ぃぃっ!」
目の前に見えた光景に青ざめた。
真っ直ぐ突き進んで行く藤堂は気付いていないのか、右側の部屋から浪士が刀を突き伸ばしているではないか。
永倉の叫びに反応し「おわっ!」と、背後に飛び退いたが剣先が藤堂の額に向かって迫った。
額当てを斬り裂き、肉をも裂き
ブシュュョッッ!
「へぇぇすけぇぇぇっっ!」
藤堂は額から血を噴き倒れた。
「…ンの野郎ぉぉっ! 邪魔だ退けっ!」
「ぐあっ!」
永倉は対していた浪士、更にはその先にいた浪士数名を走りながら突いては斬り突いては斬りと繰り返し、ようやく藤堂の下へ辿り着いた。
藤堂を抱き起こすと、何とか息をしていてホッと息をつく。
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