駆け抜けた少女【完】
「私、残ります。 自分の意志で、見届けたいと思ったから」
「辛いかもしれないですよ」
「それは未来に戻っても同じだと思う。 此処が気になって、何で帰って来たんだろうって後悔するくらいなら、みんなとこの時代で生きてみたい」
帰りたい気持ちもあった。
祖父や父や母、友人たち、平和な世で学生生活を送り、普通に暮らしたい。
以前なら、そう思ったことだろう。
しかし今は、迷いなく言える。
「みんなと、生きたい」
新選組の歩む運命を、この目で見届けたいと。
そう断言した途端、パァァと目のくらむ光に皆が包まれてしまう。
黒が一気に白に変わった異空間。
お華の体が、次第に薄くなっていく。
繋いでいた手をすり抜け、沖田は穏やかに微笑んでいた。
「大丈夫。 今度こそ守りますから」
「さっさと成仏しな」
「…どうか、どうかお元気で」
白い輝きの中、涙を浮かべて微笑むお華。
ようやく救われた。
ようやく、己自身がかけた呪縛から解かれたお華は嬉しそうに、ただただ涙する。
ふわり、と、伸ばした手が矢央の胸元に触れ、コソッと耳うつ。
「あなたに、最後の力を捧げます。 私からのお詫びと感謝として受け取って」
「え? 力って……」
答えを待つ矢央にお華は心を通して言葉を送る。
その言葉を聞いた矢央は複雑そうに笑った。
そして足下からキラキラと消えて行くお華は、最後にやはり沖田を見つめた。
「いつかまた迎えにきます」
「はい……。 さようなら」
――――さようなら。
最後は何ともあっさりとした別れ。
その言葉を最後に、また暗闇に包まれてしまった。
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