だから、君に
【8】分類すると
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およそ夜の街には相応しいとは言えない根岸を見かけたのは、駅前の繁華街だった。

十二月の空気はパリパリと渇き切ったように冷たい。夜になれば尚更であり、行き交う人々も駆けるように家路を急いでいる。

夜の九時過ぎ、冬休みの恒例でもある夜間の見回り当番になった僕は、うちの学生の行動範囲となり得る場所を練り歩く羽目になった。

学校からスタートして浜辺を通過し駅前まで、が正規ルートというわけだ。

途中、塾帰りだという制服姿の生徒に数人出くわした他には、指導すべき青少年も見当たらない。

師走は受験生にとって最後の追い込み時期でもある。そんなときに、夜遊びをする生徒もそうそういないだろう。

帰ってビールでも飲もうか、と思っていた矢先だった。


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