だから、君に
寒さのせいか、彼の頬にさしていた赤みは引いてきているようだった。

「お前さ」

再び歩き始め、僕の隣を歩く根岸に声をかける。

「はい」

「いつも、さっきみたいでいいのに」

きょとん、という表現がぴったりのように、目を丸くして僕を見る。

「さっき……とは?」

「もうちょっと砕けた感じっていうか」

ああ、というように、根岸は小さく頷いた。

「言葉遣いには気をつけなければ。先生は先生ですから」

「分類するわけだ」

「そうですね、麻生に対してはさっきみたいな調子ですよ」

三人称まで変わっている。

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