妖魔03(R)〜星霜〜
闘牛の角を腹に突き立てられるハンス。

その瞬間、ティアを離して電撃を受けたかのように体を振るわせた。

「ティア!」

後ろから到着する、チェリーの親とチェリー。

「大丈夫か?」

「俺は、まだ大丈夫だ。でも、ティアがまずい」

先ほどの壁との激突は、骨が折れててもおかしくはない。

チェリーの親はティアの元に走り、チェリーが俺の近くに来る。

「お前は、怪我はないか?」

一つ頷く。

「そうか。良かった」

「お兄ちゃん」

「何だ?」

「何で助けたの?」

「死んで欲しくないから」

「チェリー、解らない」

「それでもいい」

体が、まだ動く気配がない。

「ティアは、まだ息がある」

チェリーの父親の声で、少しほっとする。

「退くぞ」

「俺はまだ生きてるんだがなあ」

意識を吹き返すハンスが、闘牛の首を持ちながら立っていた。

「ギャハハハハハ!こりゃあ美味いなあ!お前等の血もよこせや!」

ハンスが闘牛の首を捨てて動き始めた。
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