妖魔03(R)〜星霜〜
「でもさ」

「え?」

「アンタが生きてて良かったわ」

笑顔を見せる。

しかし、それは俺には眩しすぎる物であった。

「俺がそんな言葉を、貰う事なんて、あっちゃいけない」

「アタシが言ってるんだから、素直に受け取ればいいのよ」

「俺は」

「アンタがアタシを裏切ったと思ってるんなら、グダグダ言うんじゃないわよ」

俺を睨みつける。

「それで納得しないのなんて贅沢ね。じゃあ、もう一つ聞くわ、アンタといた美咲はどうだったの?」

「泣いた事もあった。でも、最後は、笑顔だった」

俺は、嘘を付かない。

「なら、アンタは良い事をしたじゃない」

「でも、子鉄の気持ちは、どうなるんだよ?」

「美咲やアンタが隠れて逢引したからって、アタシがブチギれて嫌悪感を抱くとでも思う?」

「俺は、それだけの事を、したんだ」

カメリアの事も、お吟さんの事もある。

「一般論で言えば、アンタは最低。でも、アタシはアンタや美咲の事を嫌いにならないわよ」

「何で、そこまで」

「事実がどうであれ、アタシはアンタ達二人が好きなのよ。ここに来たのも、好きだからよ」

俺は、足を止めた。

「もっと、感情的に、なってもいいんだぞ。俺を殴ってもいいんだ」

「アンタ、そんな女々しさで本当に美咲を笑顔に出来たの?」
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