妖魔03(R)〜星霜〜
子鉄が俺の元に来ると、拳を握り俺の頬に放つ。

「ぐあ」

勢いで地面に尻餅をついた。

「アンタ、そんなにボロボロになって何もしてこなかったわけ?違うわよね?」

子鉄が珍しく感情を露にしている。

「結果が必ずしも良い方向に向うとは限らない。でも、良い方向に向けようと、ベストを尽くしたんでしょ?」

俺自身、出来る限りの事は、やってきたのだろうか。

ベストを尽くしたと思えるのだろうか。

「アタシはアンタの事、許してるの。余裕がないのならアタシの事は気にしなくていいわ。でも、せめて今だけはシャキっとしてよ。そうじゃないと、この子も元気が出ないわ」

父親を分かれたチェリーは、未だに傷心中である。

「悪い」

子鉄ちゃんが右手を差し出した。

しかし、左腕が動かない。

俺は、右手で子鉄の手首を掴む。

「アンタ、左腕」

言葉の途中で子鉄がチェリーをこちらに投げて、刀を抜いて一振りする。

すると、金属がぶつかり合う音が洞窟内に響いた。

「あらーん、斬られちゃったのーよ」

暗闇の向こうから現れたのは、リボルバー式の拳銃を構えたロックが出てくる。

「正直、お前達がここまで来るなんて、予想外だわーん」

「お前がここにいるって事もな」

チェリーを地面に置いて、立ち上がる。

「お前達、相当焦ってるわねーん」

「なら、どけよ」

「俺とお前は敵。そこんところ、間違えないでちょーだい」

ハゲーはゆっくりと、撃鉄を下ろす。
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