妖魔03(R)〜星霜〜
「だけどよ、今は、泣き言なんか言ってられないよな」

先ほどの子鉄の一撃で少し目が覚めた。

「チェリー、俺の住んでた土地に、連れて行ってやるからな」

「無理だよ」

チェリーは、否定した。

「だって、お父さんもお母さんもモンドも、みんないなくなっちゃったよ?もう、無理だよ。お兄ちゃんだって、ティア姉ちゃんだって、どうなるか、わからないよ!」

「チェリー!」

俺はチェリーの言葉を大声で遮る。

「俺にはカメリアとの約束がある。だから、絶対につれていく」

不安にさせないようにと、笑顔でチェリーの頭を撫でる。

「それだけじゃない。お前の事が本当に好きだから、生きていて欲しいと思う」

根拠はどこにもない。

でも、チェリーが死ぬなんて、考えたくはない。

「お兄ちゃんが、滅茶苦茶にしたのかどうか、解らない」

涙を浮かべた瞳で俺を見る。

ほんの少しだけ歩み寄ってくれたのかもしれない。

「時間がない。先に、空気岩の治療を」

「某の傷など、舐めていればそれなりに治る!」

何故か知らないが涙を流しながらも、傷口を舐めていた。

聞き耳を立てながら、話を聞いていたのだろう。

「いったーい。本当、無茶苦茶するわーん」

ハゲがゾンビのように背を起こした。

「まだ、動けるのか」

退魔師の一撃を食らっても動けるとは、どんな鍛え方をしているのか。

「俺を誰だと思っていーる」

「ハゲだろ」

「スキンヘッドだと何度言ったらわかるのーさ」

ゆっくりと立ち上がり、その場でフラついた。
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