妖魔03(R)〜星霜〜
子鉄が刀を抜く。

「待って待って、待つのーさ」

「何だよ?」

「もう、負け。降参、白旗なのーよ」

銃弾を二発も撃ちこんでおいて、都合の良い事を言いすぎではないのか。

どうせまた襲ってくる可能性しか見えない。

「三度目はなしだぜ」

懐から、拳銃を抜き出す。

「あ、俺の銃じゃなーい」

遠慮なしに近づいてくるハゲに向けて、銃口を向ける。

「丞ちゃん、もう勝負はついてるわ」

「子鉄、こいつは二度も俺達を殺しにかかってきた。自分が死ぬ覚悟もないくせに、二度もだ。それに、俺はそこまで器が大きいわけでもない」

トリガーを引いて、ハゲの足を撃ちぬく。

「ぐ、いったいじゃなーい!」

ハゲは足を押さえながら、転げまわる。

「どうせ、後で仲間が来る。タフなんだから少しの間だったら、死なねえだろ」

拳銃を仕舞い込む。

「ハゲ、もう二度と俺達に面見せるなよ」

俺達は、ハゲを置いて先に進んだ。

途中、治療を受けながらも、どんどん出口に向かう。

「子鉄」

「え?暗闇でレイプ?」

「あのな、今の俺にそんな勝ち目のない事をするわけがねえ」

「それくらいの事を平気でやりかねない顔をしてるって事よ」

先ほどの事が気になっているのかもしれない。

だが、自分達を傷つけるような奴に、優しさを持って接する事は出来ない。

以前なら、奇麗事でも言えば済むような世界にいたのかもしれない。

だが、今は違う、

何もかもがだ。
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