妖魔03(R)〜星霜〜
「留まる気持ちがあるのなら止めない」

罪の清算のため、当分はマヤの好きなようにやらせるつもりだ。

出会った時のように追い出すつもりはない。

私も驚いているのだが、マヤの存在は心の片隅に居座わる程に大きくなっている。

一日で役割を得るなど、誰が予想したか。

「鞭で連打以上の痛みを、体だけでなく心も味わう事になるアルよ」

「傷つくことには慣れてる」

「痛みを快楽に変える方法を知っているとは、一癖も二癖も心の中に秘めているアル」

「荒野で健全な精神を持っている奴なんていない」

狂気の満ちた世界に、常識などありはしない。

環境に犯されている私にも当てはまるだろう。

「マヤは、持国の娘なのか?」

「アチシに頼るとは、体を許したも同然アルよ?」

何故、女にマヤの事を尋ねたのかは解らない。

自信があるわけではないが、女から他の奴らのような邪気を感じられなかった。

「アチシにとって女の情報は興味がないアル。でも、おちびちゃんが知りたければ教えるアル」

世界は物よりも情報のほうが重要だ。

情報がなければ、すぐさま死を迎えてしまう。

「あなたはタダで情報を渡す気はないだろう?」

「物分りがいいアルな」

広目が本当に笑っているのかわからないが、私の出す答えに楽しんでいるように見える。

「やり取りとは、愛のように与え、与えられる関係アル」

「愛などと、幻想めいたことを聞くとは思いもしなかった」

「下に愛はつき物アル」

目に見えぬ愛は、世に存在するのか?

今の私には疑問でならなかった。

「それより、条件は?」
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