妖魔03(R)〜星霜〜
広目と戯れるためにいるわけではない。

欲しい物を手にいれられるのなら、やるべき事を行うだけだ。

「先を急ぐと初めての時も失敗するアルよ」

「私はあなたみたいに強くない。だから、日が落ちる前に家に帰りたいんだ」

絶対に廃墟から出ると決めた以上は、殺されるわけにはいかない。

「夜はムードを出すにはもってこいアル」

「何で時間を引き延ばそうとする」

広目は私の話など聞いてないのか。

「男は焦らずどっしりビン立ちさせればいいアル」

「ふう」

広目は遊びとしか思っていない。

やり取りは時間の無駄だ。

「おちびちゃんの家に招待するアル」

夕刻時に迫り、帰ろうとしたところで条件を提出してくる。

「私の家に来たところで、あなたが満足するような事は何もない」

「アチシが満足するのはイッた時だけで、期待はしてないアルよ」

私の住まいの位置を特定して、何を企むつもりだ?

純粋に遊びに来るだけ、とは行かない。

「下の奴らは反応がつまらないアル。たまにはおちびちゃんみたいな奴と絡みたいアルよ」

「私はあなたの玩具ではない」

「情報、いらないアルか?」

マヤから聞き出すには時間がかかってしまうだろう。

「解った」

「ほう、アチシを信用するアルか?」

「あなたは、本当の悪だとは思えない」

部下はともかく、派閥の中で広目が何かを破壊したとかいう情報は流れてこない。

だからといって、信用しているわけではない。

「おちびちゃんを騙して、お嬢ちゃんを売るかもしれないアルよ」

他の誰かが同じ台詞を言えば、私は警戒をしただろう。

広目の台詞は危険に見えるが、声は柔らかいままで変動がない。

何故か、恐怖を感じなかった。
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