妖魔03(R)〜星霜〜
「君の目的も、大体解っているよ」

洞窟でのやり取りが解っているのだとすれば、言う必要はないのか。

「だが、私達だけが報酬を支払うのは些か不平等ではないかな?」

ウッドを助けたという有効打は村に入るという事で使い果たしている。

「平等なんて、あんのかよ?」

「生死は平等だ。だが、話はそうじゃないだろう?」

困った顔をして、物覚えが悪い奴に対して嘆息したのだろうか。

「条件はなんだよ?」

「飲み込みがいい。君には2週間、ここで生活してもらいたい」

「二週間もか?」

「一生出られないだとか、目的半ばで死ぬよりはいいと思うよ」

「本当に気付かれない道を知ってるのかよ?」

「二週間すれば解る事だ。それとも、村を抜けて余計な道を歩き続けて、騎士達に見つかって殺されたほうがいいかな?」

信じられる確証がどこにもないんだよな。

だが、島の事に詳しいのは事実。

誰かに聞いても答えてはくれそうにないしな。

従うべきなんだろうか。

「何故に二週間なんだよ?」

「畑仕事を手伝って貰いたいのと、子供達に日本の事を話してもらいたい。一週間じゃ報酬を渡すとしては少し足りないから、二週間にした」

自分の命が僅かだというのに、二週間もチンタラしなければならないのかよ。

どうしても焦っちまうな。

しかし、飲むしかないのか。

「途中で勝手に村を出てくれても構わないよ。ただ、その時には」

「解ってるさ」

判断を任せるのはいいんだが、どっちも地獄としか思えない。

俺に寿命の関係がなければ、二週間は問題ないんだけどな。

「それと、一つだけ守ってもらいたい事がある」

「何?」

二週間軟禁の他にまだやらせようなんて事があるのか。

「私達が死ぬような事があれば、逃げるんだよ」

長老よ、何ていう伏線めいた事を言うんだ。
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