妖魔03(R)〜星霜〜
「君は、葉桜靜丞さんの関係者かな?」

「靜丞は俺のジジイだけど」

「血縁者に会うとは、何の因果か」

火野をよく見れば、ジジイと同い年ぐらいの風貌をしているな。

「火野さんはジジイと知り合いなのか?」

「一度だけ、靜丞さんに決闘を挑んだ事がある」

「何故?」

「君の祖母に当たる、葉桜吟さんを知っているかい?」

「ああ」

さっきまで一緒だったんだからな。

まさか、お吟さんをかけて決闘をしたんじゃねえだろうな?

「里を出て行く前に吟さんが欲しかった。だが、吟さんは強い男しか認めない」

火野さんは自分の拳を震えるほど強く握っている。

「ジジイが前に立ちふさがったってわけか?」

「彼は、私にとって大きな壁だったよ」

腕一本あれば、駅の売店を潰せてしまいそうだからな。

傍にいないところを見ると、負けたのか。

「完敗だった。彼の吟さんへの熱い思いの前には、私の能力など意味を成さなかった」

自傷気味に鼻で笑い、机上で両肘を立て指を絡ませる。

例えるならば、メガネのお父さんみたいな格好だ。

しかし、お吟さんって昔も人気あったんだな。

今も十分美しいと思うけど、性格には難があるだろうな。

予め言っておくが、難があるからお吟さんを嫌いなわけじゃないぞ?

俺からすれば大好きな部類に入る人なんだぜ。

今は別居状態に等しいんだけどな。

ジジイとお吟さんから直接聞いているわけではないので、夫婦間が冷めているかどうかは謎だ。

もしかしたら、火野さんにもチャンスがあるかもしれない。

いや、火野さんとイチャイチャしているシーンを見た俺がジェラシーを感じてしまうな。

対火野戦の切り札になるかもしれないが、色々とややこしくなるので、島にいる情報は極秘扱いにした。

「今後の予定はティアとウッドから聞くように。それと、今日は自由にしてくれていいよ」

「ああ」

特に確認する事はないので、俺とティアとウッドの三匹は火野長老の家からお暇した。
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