妖魔03(R)〜星霜〜
出来上がった料理を乗せた皿を机の上に並べていく。

意外だ。

目の前にはまともな彩りを飾ったおいしそうなご飯が食欲をそそる。

「ティアはティアは、花嫁修業は得意分野なんですよー」

多分、作業が出来ても、性格が邪悪すぎるので婚期を逃しそうにしか思えない。

「美味そうには見えるけどよ」

「そうでしょー?ティアはとっても美味しそうに魅せるのが一流なんですう」

ん?今、何て言った?

だが、口の中に入れた直後に聞いた台詞だったから、時としては遅すぎる。

「ルイーダ!」

口の中から、咀嚼した物体Xを吐き出す。

どうやったら詐欺紛いな物質を作れるのか。

辛いのか、甘いのか、しょっぱいのか、解らない。

口が完全に麻痺してしまっている。

「お前、花嫁修業なんかやってねえだろ?」

「ええええ!見た目がおいしければ、男の人はついてくるんじゃないですかあ?」

ふざけんな。

すぐにでも味がバレて、あっという間に寄り付かなくなるんだよ。

「はあ、これを毎日食べてるのか?」

「そうですう。最近では味を感じなくなってきたんですよー」

「すでに末期じゃねえか」

「物を粗末にする丞さんとは大違いのティアなんですう」

食材に粗末な扱いをしているのは、貴様だよ。

「お前、もっと美味いもん食った事ねえのかよ?」

「ないです。ママの遺伝ですう」

「人にせいにしてんじゃねえ」

目の前の食事に、これ以上手をつけようとは思わない。

だが、食わなければもったいない。

「まあ、今日は食うけどよ」

まるで、玉ねぎ一個を早食いしている人のように、手が震えながらも食していく。

今日、僕の舌が三割死にました。

長老の約束にはないが、このままではティアは変死してしまうだろう。

明日から、料理の基本を叩き込んでやる。
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