妖魔03(R)〜星霜〜
風呂場は、扉を開けた向こう側に存在していた。

7畳間くらいの広さで、周りは壁で囲まれているので誰からも見られることはない。

予想通りの四角で出来た大型鉄砲風呂であり、煙突が天井を突き出ている。

家の外に火を焚くためのかまどが存在している。

俺が裏手にある薪を眺めていると、鼻に布を詰めたティアが大バケツくらいの木桶を渡してくる。

「丞さん丞さん、水を汲んできてください」

「おいおい、嘘だろ?」

「水がない状態だと、ティアが危険になっちゃいますよう」

客人とは言いがたいが、最後の最後まで労働させるつもりか。

これなら、お吟さんの家から通った方が、まだマシだろう。

村とお吟さんの家では格段に作りが違う。

ガスが通っていたし、水道だってあったんだぞ。

だからといって、後ろに戻るつもりはないけどな。

「お前も来い」

「えええ?丞さんは女の子に重いものを持たせるんですかあ?本当に駄目人間でギャ!」

「駄目なのはお前の根性そのものだ!!」

コメカミ部分の秘孔をつく。

「丞さんは、本当に893なんですからあ」

ティアはコメカミを摩りながらも、楽しそうに見える。

「よし、この二週間、空気を読めるようにさせるぞ」

「わあ、無理矢理ですねえ。もっと嬉しいプレゼントが欲しいですよう」

「お前のために用意したんだから喜んでいいんだぞ」

「あ、丞さんはアスペルガーなんですねえ。だったら、納得がいき、ゴフ!」

「自分の人生を見直して来い!」

あまり効いていないであろうボディーブローをかましてから、木桶を持たせる。

「ほれ、行くぞ」

「本当は後で木桶を持ってくれるんですよねえ。変な眉毛だけど優しいですもんねえ」

「一言多い!」

ケツに蹴りを入れながら、少し距離のある井戸まで向っていった。
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