妖魔03(R)〜星霜〜
30分か、1時間か。

火を見つめ続けて何分経っただろうか。

誰かが来る様子もなく、他にする事もなく、火の管理を続けていた。

途中で投げ出すと火事になりかねないからな。

しかし、ティアの奴、何分風呂に入っているつもりだろうか。

そろそろ出てもおかしくないんだがな。

ティアの事だから、長湯してのぼせてる可能性しか見当たらない。

「はあ」

様子を見に行くために家の中に入り、風呂場に向う。

「やっぱりか」

お約束というか、加減を知らないというか、グロッキー状態で風呂桶の縁に頭を乗せていた。

「お前さ、考えたら解るだろ?」

「丞、さん、気分いいですよう」

ゆっくり片腕を上げるものの、気分のよさが伝わってこない。

「解ったから、今すぐ出ろ」

「丞さんは、私が出られるとでも思ってるんですかあ?本当にお馬鹿さんですねえ」

「ここまで世話がかかるのに、よく一人暮らし出来たな」

俺はティアの脇の下を持って引き上げる。

そのまま引っ張り風呂場から出て、もう一つの扉の向こうにあるティアの寝床に連れて行く。

干した後みたいに綺麗な布団の上に寝かせてやる。

「ふう」

体重は軽い方だとはいえ、運ぶのは一苦労である。

「丞さん、ただでさえ、格好いい顔とはいえないのに、鼻の下が伸びて、更に酷い顔になってますよう」

両腕で胸を隠すが、下を隠さないって逆に恥ずかしいような気がするぞ。

「どんな状態でも減らず口を叩ける根性を敬いたいよ」

とりあえず、タオルらしき布で身体の部位を拭いていく。

高校生の自分ならもう少し喜んでもいいんだが、波の立たぬ水面のように落ち着いていた。

美咲達とは違って、世話のかかる妹みたいだ。
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