妖魔03(R)〜星霜〜
夜の村の外には誰もいない。

仕事を終えて家に帰り、ゆっくりしているというところだろうか。

ひっそりと静まり返っており、長閑から不気味にイメージチェンジしている。

「長老の家にでも行くか」

長老ならば、村人の家の事くらいは知っているだろう。

最初に行った家を思い出して、長老の家の前に辿り着く。

チャイムがないので、ドアをノックしてみる。

しばらく待ってみたものの、返事がない。

眠っているのだろうか。

もう一度ノックしたが、出てくる気配がない。

居留守を使っている様子もないし、寝ているんだろう。

「寝るのが早すぎだと思うがな」

時間にして、21時くらいだと判断している。

よく見れば、窓の向こうから明かりが外へと漏れていない。

諦めて、他の村人の家に行って見る。

明かりのある家がそこそこあるようだ。

試しに一番近くの家のドアをノックしてみる。

「すいません、ちょっと尋ねたい事があるんだが」

「はいはい」

ドアの向こうから、若い女性の声が聞こえてくる。

家の中から出てきたのは、本当に若い女性で30代手前だろうか。

熟女というにはまだ少し遠いかもしれない。

「アラ、あなたは今日来た人ね」

自分に何か用なのかと驚いている。

確かに、厄介者が自分のところに来るとは誰も思ってないからな。

「この村のチェリーって子の家を知りたいんだけど」

「チェリーに用なの?」

「話をするって約束をしてたんだけど、明日にして欲しいって事を伝えようと思って」

「チェリー、残念ね」

若い女性の後ろから、チェリーが悲しげな顔をして出てきた。
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