妖魔03(R)〜星霜〜
チェリーの家は、母親のカメリアと二人暮しである。

父親は先日家から出た後、帰ってこなくなったらしい。

テンプルナイツに見つかったのかもしれないが、深いところは解らない。

食卓にはチェリーとティアだけではなく、カメリアまでが日本の話に興味があるようで、留まっていた。

皆が机の周りで座って、今かと待っているようだ。

「カメリアも聞くのか」

「村から出た事がないからね。興味があるのよ」

「別に大した話は出来ないと思うけどな」

「いいのいいの。私にとって興味があればそれでいいの」

カメリアはさっぱりした性格のようだ。

「丞さんはタダでさえ口下手なんですから、ちゃんと解るように話してくださいよう」

「お前に言われると心臓の辺りがムカムカするな」

「病気持ちの丞さんは今日までの命ですねえ」

「常闇で孤独死しろ!」

眉間の部分を人差し指と中指を曲げた状態で挟み込んで力を入れる。

ついでに、喋られないように口に布を詰め込み、都合よくあった縄で縛り付ける。

「よし、話すか」

「お兄ちゃん、ティア姉ちゃんが苦しそうだよ」

「多少過激じゃないと解らないんだよ。それに、邪魔をされすぎて日本の話を聞けなくなるのも嫌だろう?」

「そうだけど」

「チェリーはティアのような者になっちゃ駄目よ」

「ええ、ティア姉ちゃん、面白いのに」

「さ、早く始めちゃって」

「ああ」

チェリーはティアを心配しているようだが、目的を果たさなければチェリーを寝んねさせる事が出来ない。

しかし、何から話せばいいのだろうか。

大人のカメリアもいる事だし、日本の食事から話してみようか。

俺は、ジャンクフードやファミレスや肉じゃがなどの話を始めた。
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