女王様御用達。
「あなたに、童話を書いて貰いたいのです」
館長はつまらなそうにほおを膨らませた。
「童話?」
彼はまっすぐ隊長を見つめる。
「蔵書の数で世界一の規模を誇るこの図書館で、新しい童話を作る企画があるのです」
館長はため息をついた。
「神聖なる本で子供にさんざん悪影響を及ぼしたお前が、子供に何か与えられるかは疑問だがな」
「……俺が、物語を書く……?」
「もちろんお前の名前は作品には出ないし、クソ作品を書いたら作品とともに貴様をトイレに流すぞ」
「…また物語を、書いていいんですか?」
彼は床を見ながら声を震わせた。
「……お前にはそれしか出来まい?」
「ありがとうございます」
彼は素早く動き頭を床にこすりつけると、部屋に響きわたる声で叫んだ。
「……ありがとうございます!!本当……ありがとうございます!!」
館長はその様子に驚いて2、3歩後ろに引いた。
なんて、惨めな光景だ。
大の大人が頭を床にこすりつけて泣きながら絨毯を汚している。
物語を書く事を禁止されたのは自分のせいなのに。
むしろ問答無用で堆肥になった方が世のため人の為になると思う。