女王様御用達。
部屋も小さい一部屋。

ベッドと机があるくらいの広さだ。

風呂とトイレは一階らしい。

僕は荷物を部屋の隅に置く。

長期だし、こっちで物を揃える気だったからあまり荷物は持ってこなかった。

明り取りはランプで、部屋の中心の天井に引っ掛けたり、机の上に置くのも自由。


そういう系の魔法を使えればよかったのだけど、僕は専門が違った。


夜空が広がる窓を開けると、気持ちのいい風が入ってきた。



宿屋は村の外れ。


周りはこの宿屋の畑と草原。


町の明かは遠い。


近くにあるのは国境の明かり。


この国の国境はやたら厳重だった。


兵士が優秀なのかもしれない。






……今も、宿屋眼下の麦畑から三人、こちらの様子を伺っている奴らがいる。






僕は笑顔のまま窓を閉め、カーテンを広げる。



「何故見張られているんだ?」



確かに、奴のパスは犬だが、そういった複製技術が一番難しいとされるわが国の証明書。

しかも女王が作った本物の偽物。


世界にはいろんな名前の人間もいるし、名前で引っかかったとは思えない。


もちろん僕は女王騎士だが、この女王騎士用に配布された証明書は使わなかった。



『ややこしいことになるから、お前は身分を最後まで隠せ』

女王はそう念をおした。

確かに国交があまり無い国の女王の側近が現れたら向こうの国もびっくりするだろうが……。



女王騎士になって間もなく、十二歳という年齢から僕の認知度は国内でも低い。

また、卑猥な本を書いて女王の私刑により隔離されていたポチ男もばれているとも考えにくい。



もし僕たちの見張りならば、その対応はあまりに早い。

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