女王様御用達。
「もう一つ、理由がある」

僕は指を一本立てる。


「女王が文通する相手は、立場や境遇的に何らかの難がある人間が多い」


「あの子、女王と文通してたのか?」


「マーガレットは、女王が文通相手に名乗る名前だ。女王はどうやってかそういう人間を探し出し、突然手紙を送りつけるのを趣味にしている」


「……どういう趣味だ……」


僕もマーガレットと文通をしたことがある。

周りの子供とは会話が合わず、勉強も幼すぎてやる気なく、問題について大人に意見すれば『あなたは子供なんだから、子供らしくすべき』と正論を跳ね返されていた時だ。


周りから天才とかもてはやされて母は自慢していたが、家に帰れば扱いは違った。

まるで気味の悪いものを見るような目で、できるだけ部屋から出ないようにいわれていた。


そんなときに女王からの手紙が来た。





『あなたに興味があるから、文通をしませんか?』






そんなやはり興味本位のもので、あきれた僕は、返事に困り、大学レベルでも一週間はかかる難しい数学の問題と『これが解けない人間に興味はない』という一文を送ってみた。



彼女はわずか二日で正解と、それ以上に難解な数学の問題を送りつけてきた。


そうしていくうちに、小学校から大学への飛び級があれよあれよと決まっていった。



「文通は彼女の趣味らしい。そして彼女もマーガレットの文通相手なら」



「……何か問題があると?」


「これは推測だが、おそらく国レベルの問題だ」




あえて、国の出版する童話の最初の主人公として国外の人間である彼女を扱うのだ。

つまり、「彼女をモデル物語を書くこと」はただの悪人の更生ではなさそうだ。




女王は何か思惑があるらしい。

そして、その詳細を僕に伝えられて無い以上、それは僕も何らかの形で女王の思惑に巻き込まれているのは明らかだった。


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