女王様御用達。
「ゆうしゃだ!!ぼくはかいぶつをたおすゆうしゃだぁ!!」


「おい、ガキ。木刀振り回すな。まったくこれだからガキは」


「このくにのかいぶつはぼくがころしてやるー!!」


「あー。分かったから、黙れ。そんなところで遊ぶな。こっちこい」


「おじさん、なになの?いやぁ、ひとさらいー」


「ちょっと!!何をしているんですか、あなた!!」


「え………」


シルルク中心街の自由市場。

個人のテントが自由に立ち並ぶその中でおきたトラブル。


僕は、あえて何も言わず遠目からそのやりとりを見ていた。


「ガキじゃない?」



犬は木の棒を剣に見立てたガキを、どうやら僕と勘違いしたらしい。

年齢は10くらいだろうか。

たしかに身長は変わらないが、顔も声も服装も全然違う。

黒い髪と青い目だけは合っているが。

そこは、ちょっとした人だかりが出来ていて、しつけのなっていない犬はその真ん中で自分の状況を把握しようとしている。


子供を保護した顔をけわしくしたまま母親が自衛団を呼んでいて、ちょっとまずい状況だ。


「あれ、ガキは?」

きょろきょろ見渡していた。

いい大人がそんな情けない顔をするな。




明らかに探した視線の中にもちろん僕もいたのだが、他にも子供がいたから彼には認識ができなかったらしい。






資料にあったとおりだ。

極度に人間の認識能力に欠けている。
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