女王様御用達。
『だから、クロ君は私の事を心配してくれなくていいの』




心配じゃない。

同情でもない。

僕がレースさんへしているのは、国の法を犯している罪人としての差別とそれによる見下しだ。



『この国を楽しんでくれればいい。少なくとも私は、あなた達がいてくれたおかけでとても楽しかったの』


過去形だ。

おそらくレースのおかれている状況を知り、僕たちがどこかに宿屋を変えるとか考えているのだろう。



すると、やはり『力になっていれる方』は僕たちではない。



「……僕は」




『あなたはまだ小さいんだから、子供らしく思うとおりしていいんだよ』


また、子供扱いだ。


「あの、レースさんはいくつですか?」


『17』


「僕とたった5年しか違わないじゃないですか」


『あはは、5年はでっかいよ。まだまだ修行がたりないよ』



彼女は笑いながら立ち上がる。




『お休み。クロ君』



彼女の軽快に遠ざかっていく足跡を聞きながら、僕はレースさんの言葉を繰り返す。


「『あなたはまだ小さいんだから、子供らしく思うとおりにしていいんだよ』」


僕は指の腹で自分の頭をかき回す。








「僕の、思うとおり」











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