女王様御用達。
1階のロビー。

普段レースさんがいるそこに彼女の姿はない。


「……どこだ?」


「ポチ、お前は食堂と調理場。僕は客室と庭を調べる!!」

「ああ!!」



まずは手前の101号室。

僕達の部屋とそう変わらない間取りの部屋。

特に別段代わりはない。


隣の102号室。

やはり特に異常はない。


隣の部屋はレースさんの部屋だ。

「こっちはいないぞ」


ポチの声に、僕はレースさんの部屋を開く。




「レースさん!!」




レースさんはそこにいた。



女の子らしい花色の柄の壁に白いベッド。

大きな本棚が燃え上がるその様子を、レースさんはぼーっと座りながら見つめていた。


「レースさん!?」


答えない。


桃色のカーテンの窓に大穴が開き、床に火のついた腕ほどの丸太が転がっている。




「犬!!水をバケツで持ってこい!!」


僕は叫んでレースさんの肩を叩く。



「レースさん!!」

「……おかあさん」


しかし彼女は目をそちらに向けたままこちらの声が聞こえていない。



火の粉がこちらにも飛んでくる。


腕を引っ張るが、大人の彼女の体は根を張った樹のように動かない。


「ポチ、水…!!」


僕は叫びながら彼女の肩を掴む。


「…っ!!」



腰に付けていた刀に手を伸ばした。


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