女王様御用達。
バガッ。
レースさんの部屋の床に大穴が開き、僕とレースさんの体は廊下へ弾き出される。
「うわあ!?な……飛んできた!?」
僕は気を失ったレースさんに押しつぶされながら、驚くポチに怒鳴る。
「いいから、火を消せ!!早く!!」
ポチはレースさんの部屋へバケツを持って駆け込むと、往復を繰り返す。
僕もレースさんをロビーに連れて行き、その作業に加わった。
幸いにも、火は本棚と天井を少し焼いただけでおさまった。
レースさんも途中で正気を取り戻し、消火作業が終わった僕らに水をくれた。
「……取り乱したばかりに、すみません」
彼女は申し訳なさそうに目を伏せた。
「一体、何があったんですか?」
そう聞く、汗だくで上着を脱ぎ半裸のポチは、異常に疲労していた。
そういえば、コイツがこんなに激しく動いたところは見たことがない。
それにしても、もやしのような体だ。
「窓から、火が投げ込まれたんです」
彼女は別に怒るでもない。
レースさんは、ただ悲しさだけを全面に押し出していた。