女王様御用達。
「火を消さなきゃって思ったのですけど、母が残した本が燃えてて」
笑おうとしようとしているのだろうが、彼女はポロポロと涙をこぼす。
「それが、母が生まれる私の為に書いた絵本だったので……母がまた死んでしまったよ
うに感じて」
彼女は顔を覆う。
「……ごめんなさい」
レースさんは悪くない。
それは明らかだ。
ポチは歯を食いしばり、寝転がる。
その勢いで床を叩いた。
「また国王かよ!!」
彼女はそのまま首を振り、言葉を震わせた。
「……おそらく違います」
彼女は言い切った。
確かに国王ならおかしな行動だ。
税金をはたいて出来るだけ生かそうとこの何年も保護している。
レースというバケモノの生き残り役がいることで、王の威厳が保たれていることもある。
もしも彼女を殺すとしても、それは公的に処刑するだろう。
やはり王の威厳を保つためのパフォーマンスとして。
「父が死んでから、良くあるんです」
父親が死んだのは1ヶ月前だったはずだ。
それも、ただの死因じゃなかった。
「馬車からひき逃げされて、犯人は捕まっていないのでしたよね?」
彼女は驚いたようにこちらを向いた。