女王様御用達。
「クロ君、どうしてそれを?」


「図書館で新聞を読みました」


「おま…どこまで網羅しているんだ」



僕が見たのはすべて第三者視点の話だ。

当事者ではない。

だから、どこまで本当かわからない。


思想を制限されているこの国の人間の意見だから、特に。



「その通りです」



彼女は頷いた。


「父を引き逃げた人は捕まっていません。その追求さえもされることはなかった」


そう。

その事件はあまりに不自然だった。


国が誰もが知っている「バケモノ」である一家の1人。

2人のうちの1人が死んだにも関わらず、あまりに記事が小さいのだ。


気になって、過去の新聞を読んでみたのだが、過去はこの一族の誰かが死ぬと盛大に一面に飾っていた。




下手すると、葬式を祝って祭りが開催されていたこともある。

人形を死体に見立てて木の棒で刺すという悪趣味なもので、さすがにそれは倫理的に国内でも問題になったらしく、それ以降の祭りは開催されていない。


だが、それにしてもあまりに扱いが小さかった。


そう、まるでその事件が無かったことにしたいように。












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