女王様御用達。
どうする?


女王から、僕の身分は最後まで隠すよう、命令を受けている。

しかし、それを話せば、物語に必要な情報を教えてくれるかもしれない。


しかし…。




「クロは、リュウズ国の女王騎士だ」




僕は口をぱかっと開けたまま犬を見た。

こいつ、何を。

「こんな、ガキだがな。俺もよく分からないが、女王騎士っつーのはある程度、実力がないと選ばれないっていうのは聞いたことがある」


「……おい」


「ついでに言えば、マーガレットはリュウズ国の女王……」


僕は、とっさに奴の顔に蹴りを入れた。


「いい加減にしろ!!KY男!!」



鼻血を吹き出しつつ、床に倒れ伏すポチ。


こーいーつーはぁぁぁぁぁぁ!!

空気読めないにも程がある!!



「本当なの?クロ君」


信じられなさそうに見つめるレースさんに、なんて答えればいいかわからない。

あーとか、うーとか、後は変な冷や汗しか出てこない。



なんて事をしてくれるんだ。

床で血液垂れ流してる奴を全力で恨む。



「あー。大体あっているような」

そうじゃないようなー。

と、しらばっくれようとしたところで、彼女は僕の手を掴んだ。

「!?」

そのままポロポロ泣き崩れてしまう。

ど、どうしよう。



「……そっか」



彼女は目を細め、嗚咽しながら僕を見た。





「私の手紙、ちゃんと読んでくれたんだ」





握った手が、あまりに強い力で、暖かくて、肌が荒れていて。

柔らかい手なのに。




僕はその手から逃れることが出来なかった。
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