女王様御用達。
「……ダレ?」
「読めないか?」
彼女は『館長』と書かれた黒い石を装飾の美しい机の上から持ち上げる。
銀色の髪を団子にしてくくり上げ、赤い眼鏡越しに見える宝石のような紫の瞳は誰もが二度見する珍しい色だ。
白い肌にそれが引き立ち、その造作が芸術品だと称える。
彼女は床に座る彼を、滑稽そうに真紅の唇で笑った。
派手な色だが、デザインのいい赤いスーツを上品に着こなしている。
この部屋にふさわしいまでの美しさで、とてもマダラと同じ世界にすむ人間とは思えない。
「図書館長」
「そういうことだ」
むしろ、彼女の顔はよく新聞に出ているので知らないのがおかしい。
また、そういった情報を持っていたら素直に『図書館長』鵜呑みにしないはずだ。
世の中に関心がない。
今、彼女の机の上にある資料に書いてある通りだ。
彼は図書館長という立場にほっとしたらしい。
自分に危害を加える者ではないと思ったのだろう。
だが甘い。
「あの、今日の奉仕作業は、公園の草むしりと聞いてたんだけ…ですが」
敬語も出来ないらしい。
「ああ、嘘だ」
館長はさらっと否定した。