女王様御用達。
「……嘘……」

彼の表情が曇る。




「そうだ。貴様は女王の命令により、抹殺する」





マダラが理解出来ない顔をしながら、小さくポカンと開いた口から「は?」という声が漏れる。

彼女の白く美しい指が黒い本を掴み、ふらふらと揺らす。
黒革に赤い薔薇が咲いた表紙には題名がない。
マダラは呻いた。


「見覚えがあるだろう、エロ作家」


彼女は目を細めた。



「これで、貴様は『18歳未満の者は18歳以上を対象とする過激な性表現および暴力表現を使った作品を執筆・出版・販売してはならない』という女王の法律を見事にやぶったよな」


滅多に破れなさそうな法律。

それを僅か三日で破った15歳ということで、国中に衝撃が走ったと僕は聞いたことがある。


「……女王のプライドを傷つけ、変な性癖が流行り、15歳以下でエロ本書き始める模倣者が増え、貴様の名前が猥語として流行ることになった元凶だ」






彼女は、黒い立派なソファから降り、彼の元に向かって颯爽と歩く。

鮮やかだが、デザインが良く上品に見える赤いスーツ。

「それがこの国にどれだけの影響を与えたことか」

それから長く伸びた足が絨毯を踏み、曇った足音が響く。



「貴様は、存在自体が世の中の毒でしかない」



マダラは首を振る。


「俺は、罪を償うためにそれから数年間監視されながら奉仕作業をしてきた」


彼女は止まり、至極可笑しそうに聞いた。



「で?」


「でっ……て?」


彼の答えの代わりに、彼女の赤い艶やかなヒールが、理解力の薄い彼の頭を踏む。




「たかが、草むしりや教会の塗装やゴミ掃除で相殺される程度の女王様のお怒りだと思っていたのか?」




黒いストッキングの足首をぐりっと回転させる。

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