女王様御用達。
僕は木刀に手をかける。


「ちょっと、君たち」



彼は意外と気さくに声をかけてきた。

明るい調子で、まるで新学期に出会った新たなクラスメートへの挨拶のようだ。


「何っすか?」

僕の代わりにポチが答える。





「君たちさ、『シルルソウ』って宿屋を利用してる」

彼が僕らに聞いたのは質問ではない。

「よね?」

明らかな、確認だった。




「…はい、そうですが?」

僕は体勢を低くして睨み付ける。


「だとしたら?」



ポチはポケットに手を入れて。

…なにげに震えている。

実戦経験とかなさそうだし、仕方がない。

せめて全力で逃げてくれれば今の奴にとっては上等か。

動けなかったら最低だ。


彼はポチと僕を見比べる。



そしてばつが悪そうに自分の頭を触った。




「君たちは、本当に不思議なツーショットだ」



肩をすくめてため息をつく。



「いや、変と言うべきだ」



僅かに赤頭巾の下から銅色の瞳が覗いた。




……どこかで見た色だ。
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