女王様御用達。
「おいしいねぇ」
公園の目の前で売っていたアイスをほおばる王子。
ポチが買ってきたにもかかわらず、この人は毒も何も気にせず食べて見せた。
そんなの注意しないただの馬鹿か、こちらが毒は入れないと踏んだか。
とりあえず、王子の横で警戒せずおいしくいただいているポチはただの馬鹿だ。
馴染むな、この野郎。
「とけちゃうよ?」
ポチを睨んでいた僕に、王子は笑いかける。
「そんなに警戒しなくても、本当に僕1人だから」
僕は仕方なく食べ始めた。
いや、ポチにアイス買わせたのは僕なんだけど。
「本当に、君たちはおもしろいよ」
彼は興味深げに僕を眺めた。
「『シルルソウ』が出来てから、数十年、一週間以上宿泊したのは君たちくらいしかいない」
なるほど。
「逐一把握されているわけですね」
「警備兵から毎日連絡が来るからね。出入りした人数や時間とか」
「でしたら、率直に聞いていいですか?」
「んー?」
「最近『シルルソウ』に火を投げたのは、国の指示の1つですか?」
彼は、目元を笑わせたまま、苦そうな表情をした。
「そんな指示はしないよ。国の方針としては彼女に生きてて貰わなきゃ困るんだから。あるいは、直接手を下したことにしないといけないでしょ?」
ポチは頷く。
「でも、警備兵の交代の時間だったんだよね。こちらには、煙が上がった報告しかない」
王子は僕の頭を撫でる。
「……まあその時間だから、君が不審に思うのも当然だよね」
いちいち馴れ馴れしい。
「少なくとも、犯人は警備兵の交代時間を把握している人間ということになるんだから」
こちらが言いたいことが分かっているらしい。