女王様御用達。
小さな箱の中身は、ピンクゴールドのかぎ針だった。
「綺麗」
レースさんは、ランプの光に近づけ、うれしそうにそれを眺めていた。
「ウリム王子はよくいらっしゃるのですか?」
「ええ。1年前から。私の家を気遣ってくれて」
「護衛もなしで?」
「はい。護衛はいつも無いですよ。国王に見つかったらまずいそういそうですよ」
どうやら、『バケモノ文化を無くしたい』彼が言っていたことは本当のようだ。
彼を語るレースさんはとてもキラキラしている。
人知れず、ちょっと落ち込んだ様子のポチ。
そう言えば、コイツ告白したんだった。
振られたんだっけか。
あまり、他の男を語られるのはポチ的に思うところがあるらしい。
金髪のさわやか王子と前科付きもやし男。
勝因はないことは、12歳の僕でも理解できる。
ひとしきり鍵棒を眺めたところで、表情が死んでいるポチにやっと気づくレースさん。
「その本……」
いや、ポチじゃなくて本の方が気になったらしい。
彼女は顔に影を落とす。
「中、見ちゃいました?」
僕たちは首を振る。
この分厚い本には題名はない。
しかし、どうも日記帳の雰囲気があり、見ようとしたポチを止めた。
「よかった」
「この本はなんなんっすか?」
「先代の記録です。代々受け継いできた記録です」
そんな重要な記録を渡すほど、王子は信頼されているらしい。